注目の思考法「バックキャスティング」とは

“ありたい姿・あるべき姿”から“いま”を考える思考法「バックキャスティング」が注目を集めています。実はこの思考法、視覚会議と相性が良く、両者を組み合わせることで、組織改革から人材育成、企業戦略立案まで幅広く応用することができます。

環境問題から生まれたバックキャスティング

問題解決の手法には先に課題を定義して、その解決策を考えるフォーキャスティングと、あるべき姿を定義して、その実現手段を考えるバックキャスティングの2種類があります

フォーキャスティングはもともとあった考え方です。たとえば、過去の気象データを使って先々の気象を予測する天気予報や、過去の売上実績から来期の目標を設定することなどが一例です。みなさんも普段から当たり前に行っているのではないでしょうか。

一方、バックキャスティングは1970年代に環境問題がきっかけで生まれた言葉だと言われています。20世紀半ばから地球規模で開発が加速し、環境の悪化に危機感を抱いた科学者たちは警鐘を鳴らし、さまざまな研究報告を発表します。

そこにバックキャスティングという言葉が使われ始めました。

これからも人類が生存し続けることができる地球の状態とはどのようなものかを定めて、環境に影響を及ぼす開発や経済活動は、その地球の状態を維持できる範囲内にとどめよう、という発想です。

一般的な言葉に置き換えれば「ありたい姿・あるべき姿を規定し、その実現のために、いまなすべきことを考える」ということになります。

ジョン・F・ケネディが描いた“あるべき姿”

バックキャスティングと似た言葉に「ムーンショット」があります。こちらはジョン・F・ケネディによるアポロ計画が語源。ケネディが「10年以内に人類が月面に行き、無事に戻って来る」と宣言したことが始まりでした。

人類による月面着陸はいずれ実現したのかもしれませんが、ケネディが明確な目標を掲げたことで、大勢の関係者がそのゴールに向かって力を尽くします。その結果、プロジェクト自体が寄り道したり頓挫したりすることなく最短距離を突き進むことができました。

バックキャスティングもムーンショットも、ほぼ同じ意味です。ありたい姿・あるべき姿を規定し、そこから逆算して考えることを指します。

最近はこれらの言葉をメディアで目にする機会が増えたほか、政府の科学技術政策などにも使われており、ちょっとした流行語のようになっています。しかし、アポロ計画や政策レベルのプロジェクトにのみ適用されるわけではありません。

あらゆるビジネスの現場に活用していこう!

バックキャスティングの本質はチームのメンバーとともに“ありたい姿・あるべき姿”を描くことにあります。ありたい姿とは、こうなりたいと目指す理想の姿のこと。あるべき姿とは、こうあるべきと描く理想の姿のこと。いずれにしてもバックキャスティングで描くのは未来のゴールであり、そこに唯一無二の正解はありません。メンバーで決めたことが“答え”になるのです。

ちなみに、フォーキャスティングの場合はその反対に課題を規定するところから始まります。分かりやすい手法ではありますが、現在の課題にとらわれ、新しい発想や飛躍的な未来図を描くことは容易ではありません。言い換えれば、現在の延長線上で考え、堅実に課題解決すべき案件ならばフォーキャスティングの方が向いています。

バックキャスティングではメンバー間でゴールを合意したら、それを実現するために何をすべきかを考えます。未来の姿から順番にさかのぼって、中期的に取り組むべきこと、短期的に解決すべきこと、いま成すべきことを考えていきます。最初にどのようなゴールを描くかで行先はもちろんのこと、今日明日に取り組むことも変わってきます。

バックキャスティングは新規事業開発や組織変革、働き方改革など、新しい世界へと踏み出すプロジェクトに向いています。規模の大小や時間軸の長短は関係ありません。また、環境問題のように、唯一無二の正解が存在しない“やっかいな問題”にもバックキャスティングは向いています。

視覚会議×バックキャスティング

一般にバックキャスティングは大きな目標を実現するための手法のように紹介されていますが、そうではありません。先に“ありたい姿・あるべき姿”を描き、その実現のための具体策を考える手法ですから、来期の採用計画や新規営業チームの計画立案などにも十分活用することが出来ます。

視覚会議BASICはわずか50分間で答えが出せる合意形成メソッドです。バックキャスティングの肝になる“ありたい姿・あるべき姿”をチームで合意形成するにはうってつけの手法と言えるでしょう。

 

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バックキャスティングを知りたい方へ

◆バックキャスティング専門メディア『Backcasting Lab.

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 ありたい未来を描き、そこから現在に遡って課題解決を考えるアプローチ法「バックキャスティング」を掘り下げる専門メディア。さまざまな分野の有識者へのインタビューを通して、イノベーションの本質に迫ります。

 

◆Backcasting Lab.編集長、尾崎えり子のコラム『未来メガネ

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一歩先の未来に焦点を合わせ、自分・組織・社会の「ありたい姿」から「今」を見てみます。「今」をどこから見るか?見方をかえると見える世界も変わってきます。「未来メガネ」を通して、ワクワクするちょっと先の未来お見せします。