POINT

視覚会議やバックキャスティングを使って、会社のビジョンを作るという大きなミッションを遂行したJBアドバンスト・テクノロジー(以下、JBAT)。ビジョン形成のみならず、社内の雰囲気や社員のモチベーションまでもが大きく向上したきっかけは、視覚会議を2度行ったことでした。

参加者全員の意見を反映した、最強の「ビジョン策定」が実現

ハードウェアやソフトウェア、生産管理PKGの開発、製造、販売を行っているJBAT。先進技術研究所所属の新居田晃史さんは、数年前に初めてHackCamp(※)が主催したハッカソンのイベントに参加、その後ファシリテーター養成講座も受講し、「いつかJBATの中で、この経験を活かしたい」と強い希望を抱いていました。

そしてついに、そのチャンスが訪れます。社内で「会社としての具体的なミッション・ビジョン・バリューを作ろう」という企画が持ち上がったのです。そのメンバーに選ばれた新居田さんは、率先してファシリテーターに名乗り出ました。

「じつは、以前にも自己流で視覚会議っぽいことをして、社内の会議を進めたことがありました。その際にうまくいかなかった反省点から養成講座に参加した経緯があり、今度はその成果を出すべくチャレンジしたかったんです」(新居田さん)

まず行ったのは、視覚会議による合意形成です。「JBATが子ども世代に向けて果たすべき使命のあるべき姿とは?」をテーマに、社内から選出された12名が参加しました。

「各々が思うキーワードをいくつか挙げていき、そのキーワードを使って、ひとつの文章を作るというプロセスを踏みました。出てきたのは、『新しい技術』『仲間』『情熱』といったワード。このイメージの洗い出しによって、初回の会議でありながら7~8割は参加者が同じ方向を向けたと確信しました。しっかりと合意形成ができ、ブレない軸ができた感じです。

しかも、12名全員が年齢や役職を問わず自分の意見を主張し、自分事として熱量の高いディスカッションができた。このことが一番うれしく、また、驚きでもありました」(新居田さん)

というのも、これまでの社内の会議では、声の大きな数人が中心になって話し合いが進んでいき、参加者の半数以上はただ聞いているだけ。どこか他人任せな話し合いで決議がなされていくことが珍しくなかったからです。

「視覚会議は、参加者全員が意見を持ち、その意見が採用されることで、さらに積極的に議論に参加できる。しかも、なんのスキルも必要なく、HackCampさんに教えてもらった視覚会議のプロセスに沿って進めていくだけで、自然に意見がまとまっていく。本当にすごいです。感動の成功体験でした」(新居田さん)

(※)HackCamp:視覚会議 総販売代理店

停滞気味だった会議が再び活性化。きっかけは「2度目の視覚会議」

その後も、2週間に1度のペースでミーティングを行い、バックキャスティング手法を用いながら順調にビジョン形成のゴールへと進んでいったように思えましたが、新居田さんいわく、やはり苦労したこともあったようです。

「視覚会議で上がってくるワードは抽象的なので、その後いかに具体的に突き詰めていくかがカギとなります。ゴールとなるWHYやWHATが同じでも、どうやって進めていくかというHOWの部分は人それぞれ。ぼんやりとしたものを明確なワードにするための過程では、少し混乱したこともありました。目の前の議論に夢中になるがあまり、最初に抱いた『ありたい姿』を見失っていたのかもしれません」(新居田さん)

全員の意思を再確認するためには、もう一度視覚会議を行うべきかもしれない。でも、どんでん返しになってしまう恐れもある……そんなとき、参加メンバーの一人から、「もう一度視覚会議をやってみませんか」という提案が。ここが最大のターニングポイントでした。

確かに、ファシリテーター養成講座でも、視覚会議は必ずしも1回でなくていい、必要であれば何回行ってもいいと定義されています。企業も個人も日々進化しているなかで、ゴールとするありたい姿も進化したり、解像度が上がったりするのも当然だからです。

「2度目の視覚会議を経て、少しバラバラになりかけていた思考が一気に深まり、確固たるゴールに向かって、全員で進んでいけるように。結果、弊社HPに掲げている『JBAT VISION』が形になるという大きな成果が得られました。今回参加したメンバーからは、揃って良い感想が聞けましたし、皆が『正解のない過程』を楽しみながら進められたと肌で感じることができましたね」(新居田さん)


どんな組織でも導入・活用が可能な魔法の手法

視覚会議やバックキャスティングの活用は、どんな企業や組織でも成果が出る、実践者いわく”魔法の手法”です。ただ、どのように社内に持ち込むかという導入のきっかけが、意外に難しいもの。

「今回私のチャレンジが成功した理由を振り返ってみると、導入前の動きにいくつかポイントがあったように思います。ひとつは、既存の業務ではなく、会社のビジョン形成という新しいタスクだったため、進行の仕方から自由にやらせてもらえたこと。それから、私は毎月社長との面談をしており、その際に視覚会議の話やファシリテーター養成講座の話を定期的に伝えていました。社長自身も自律型経営を目指していて、だったらこんな進め方がありますよ!と少しずつ提案していたことがベースにあったからこそ、導入へと持っていきやすかったのだと思います」(新居田さん)

さらには、HackCampとパートナーシップを組み、逐一進め方を相談していたことが何よりの勝因だったと新居田さんは笑顔で語ります。

「迷ったり疑問が生じたりしたら、都度コミュニケーションツールで相談していました。すぐにレスポンスがあるスピード感、しかも質問したこと以上のアドバイスと対応策を提示してもらえるので、今では欠かせない最高のパートナーだと思っています」(新居田さん)

今後の課題は「ビジョン」を社内に浸透させていくこと

今回の体験で、参加者12名の意識が大きく変革しました。まずは第一ステップ成功。ここからが本番です。

今後の狙いは、形成したビジョンを社内で浸透させていくこと、そして他の社員にも視覚会議を通じた成功体験を拡大していくこと。さらには、新居田さん自身のスキルを高めていくと同時に、ファシリテーターを務められる人を育てていくことも、大きな課題です。

「少し時間はかかるかもしれませんが、仲間が増えればその分、企業の成長スピードも加速するはず。社内からのフィードバックも欲しいですし、いろいろと試してみたい手法もあります。

このように、課題はまだまだありますので、今後も視覚会議の活用・定着サポートを延長し、HackCampさんに伴走をお願いする予定です。心強い味方がすぐ側にいることで、私たちも安心してプロジェクトを進めていくことができます。夢は広がりますね」(新居田さん)

より多くの人が体験をし、いずれは通常業務でも視覚会議をツールとして利用していければと語る新居田さん。より高い地点を目指して、HackCampも共に走り続けて行きます。

JBアドバンスト・テクノロジー株式会社

・先進技術研究所 
・新居田晃史さん

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