事例紹介:株式会社NTTデータ

新規事業創発の手法としてオープンイノベーションが注目されています。しかし、それはゼロからイチを作るようなもの。最初からビジョンが定まっていることは稀です。そこで、導入されたのが視覚会議でした。

わずか50分間でスッキリ!
共創に適した手法として社内外で活用

短時間で合意形成できることが最大の魅力

NTTデータでは2015年から一般企業によるベンチャー企業との新規ビジネス創発の取り組みを支援するサービスとして「DCAP(ディーキャップ)」を提供しています。国内外の優れた技術を持つベンチャー企業とのマッチングを図り、NTTデータグループの情報インフラ技術やビジネス化ノウハウを生かして新しいビジネスモデル構築を支援することで、オープンイノベーションを実現するというものです。

D C A P の開発に携わった一人が金融事業推進部 デジタル戦略推進部の角谷恭一さん。顧客企業がオープンイノベーションを
実現するサービスとはどのようなものか、具体的なプログラム内容を試行錯誤する過程で、視覚会議を知りました。

「短時間で合意形成できることに興味が沸いたので、早速ファシリテーターにお越しいただいて、部署内で視覚会議を実施してもらいました。そうしたら本当に50分間でひとつの結論が出て、これは使えると思いました」(角谷さん)

その後、角谷さんはもちろんのこと、同部署の高岡和矢さんたちもファシリテーター養成講座を受講し、社内外で視覚会議を実施できる体制を整えました。

社内では営業の担当部署がDCAPを客先で提案する際の方向性に迷っている場合に使うことが多いそうです。

「営業として担当している以上、お客さまの新規事業創発を支援したいという思いは誰もが持っていますが、具体的に表現しないと、周囲が同じように考えているかどうかは分かりません。事実、視覚会議をやって初めて『こういうことを考えていたのか』『このキーワードが重要だったのか』などと気づくことは多いです。また、自分たちの言葉で作り上げるからこそ、得られた結果に納得感があるのだと思います」(高岡さん)

チームで動くからこそ初めにビジョン共有を

社内で視覚会議を実施するもうひとつのメリットは営業の担当者が視覚会議を体感することにあります。顧客企業も新規事業創発を志していながら、進むべき方向性に迷っていたり、ビジョンを描き切れていなかったりします。営業が視覚会議を経験していれば、顧客に「まずは視覚会議をやってみませんか」と、自信をもって提案することができます。

たとえば、九州の金融機関A 社はFinTech推進部署を立ち上げたものの、思うような成果が出ないという課題を抱えていました。まずは部署の方向性を明確化することが重要だと考え、部署のコアメンバー6人に集まってもらい、視覚会議を行いました。

「部署のビジョンを策定しました。ここでいうビジョンとは永続的かつ絶対的ものではなく、今いるメンバーによる方向付けです。メンバーが変われば違うビジョンになるでしょうし、時間経過とともに変わっていくかもしれません。しかし、新しいことを始める際には最初にビジョンを共有することが重要。視覚会議は、このように正解がない問いの答えを作るのに適した手法だと思います」(角谷さん)

一方、関東の鉄道事業者B社では地域活性化プロジェクトの一環として、一般参加者や学生を交えたワークショップを行うことが決まっていました。その具体的なコンテンツを考える段階で、オープンイノベーションの実績豊富なDCAPが注目されました。初めはDCAPのプログラムをいくつかワークショップ用に活用する計画でしたが、担当者にインタビューをしてみると、プロジェクトとして成し遂げたいことと、ワークショップを実施する目的に少し乖離があることがわかりました。

「まずは視覚会議でプロジェクトの目指すゴールを改めて定義することにしました。そこで描いたゴールを実現するために何をすべきか、バックキャストでワークショップのコンテンツを設計しました。一般的にはプロジェクトの目指すゴールがあって、そのあとに具体的な手段を考えていくのですが、このときはワークショップのアウトラインが決まっていたので、視覚会議をチューニングのために使ったわけです」(高岡さん)

進化・成長するプロジェクトにこそ向く

新規事業開発やオープンイノベーションは初めから明白なゴールや、そこに至る道筋が見えているわけではありません。メンバーは不確実ななかでトライ&エラーを繰り返しながら、プロジェクトを進めていきます。その過程で得ることも多く、メンバーはそれぞれに成長していくのですが、いつしかスタート時の計画から乖離して「この程度しか進んでいない」「そもそも計画が間違っていたのではないか」と思うケースがあるそうです。

「視覚会議は最初にメンバーで合意形成した内容が作文として残せるので、そこから現在に至るまでの文脈を振り返ることができます。これまでに解決できた課題、解決できていない課題、そして新たに生まれた課題が整理されるので、次に何をしたらよいのか、新たな一手を考えることができるのです」(角谷さん)

さまざまな場面や目的に活用できる視覚会議。その使い勝手の良さもさることながら、「わずか50分間でスッキリ」できることが魅力だと、角谷さんは言います。短時間で確実にひとつの答えが導ける。この良さを社内外のプロジェクトに生かしていきたいと語ってくれました。

株式会社NTTデータ

金融事業推進部 デジタル戦略推進部

課長 角谷恭一さん

主任 高岡和矢さん