現代のビジネス環境において、組織の存在意義(パーパス)がますます重要視されています。同時に、未来志向の計画策定手法として注目されるバックキャスティングも多くの企業に導入されています。本記事では、不確実な時代の道しるべとして重要視されている組織の「パーパス」と、未来から現在を省みる「バックキャスティング」の関わり、その基本的な概念について詳しく解説し、組織がどのようにしてこれらを活用できるかを探ります。

パーパスの定義と重要性

パーパスとは「組織の存在意義や根本的な理由」です。組織がなぜ存在するのかを明確にするメッセージともいえます。パーパスは組織の活動や決定の基盤となり、長期的かつ普遍的な視点から捉えられます。

パーパスが今、注目される理由はいくつかあります。

まず、パーパスは組織の存在意義を明確にし、内部および外部のステークホルダーに対してその価値を示します。これにより、組織はただ利益を追求するだけでなく、社会に対してどのように貢献するかを明確にできます。

また、パーパスは組織の文化を形成し、その組織に所属する人たちの行動規範となります。共通のパーパスを認識することで、従業員は一体感を持ち、組織全体が一丸となって目標に向かって進むことができます。

さらに、パーパスは従業員のモチベーションを高めます。従業員が自分の仕事が組織の大きな目標に貢献していると感じることで、仕事への満足度やパフォーマンスが向上します。最後に、パーパスは顧客との信頼関係を築くための基盤となります。顧客が組織のパーパスに共感することで、ブランドロイヤルティが高まり、長期的な関係を築くことができます。

バックキャスティングアプローチとは?

バックキャスティングとは、未来の理想的な状態を描き、その未来から逆算して現在の行動を計画する手法です。このアプローチは、従来のフォーキャスティング(現在の延長線上で未来を予測する方法)とは異なり、未来志向の視点を持つことが特徴です。

バックキャスティングとフォーキャスティングの違い


フォーキャスティングは現在のデータやトレンドを基に未来を予測し、現在から未来に向かって計画を立てる手法です。この方法は、過去の延長線上に未来があると仮定しています。一方、バックキャスティングは理想的な未来を設定し、その未来から現在を見直して逆算して計画を立てる手法です。この方法は、現在の制約に囚われずに自由な発想で未来を描くことができます。

関連記事→「バックキャスティング」とは
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バックキャスティングのメリット〜創造的思考の促進

バックキャスティングの最大の利点は、創造的思考を促進することです。制約に囚われずに理想的な未来を描くことで、創造的思考が促進されます。また、長期的な視点から計画を立てることで、持続可能な成長を目指すことができます。さらに、未来の目標に基づいて計画を立てるため、変化に柔軟に対応することが可能です。

パーパスとバックキャスティングの関係

パーパスとバックキャスティングは、組織の長期的な成功において密接に関連しています。パーパスを基にしたバックキャスティングは、組織が一貫性のある長期的な戦略を立てるための強力なツールとなります。

パーパスは、組織が目指すべき理想的な未来のビジョンを提供します。このビジョンを基にバックキャスティングを行うことで、組織は長期的な目標を明確にし、それに向かって逆算して具体的な行動計画を策定できます。パーパスを基にしたバックキャスティングは、組織全体が一貫性を持って行動するための指針となります。パーパスに基づいた計画は、組織のすべての活動が同じ方向に向かって進むことを保証します。

また、パーパスが明確であれば、それに基づいたバックキャスティングのプロセスは、従業員やステークホルダーからの共感を得やすくなります。これにより、組織全体が一致団結して目標に向かって進むことができます。

ケーススタディ

パーパスやミッションビジョンの明確化・社員への自分ごと化を、バックキャスティング的なアプローチで行った事例を紹介いたします。(株式会社HackCampは、視覚会議を開発した当社=Learning Process=と提携し、バックキャスティング視点を取り入れた共創的手法で組織の課題を解決しています)

【コマツ様】未来のコマツ探索アイデアソン

コマツ様では、100周年を機会にコマツ社の未来のありたい姿を描いたビデオ制作にあたって、未来ビジョンを描くワークショップの企画支援と、動画制作支援を行いました。海外の事業所で働くメンバーもまじえ、フルオンラインで自社の未来像・あるべき姿を探索しました。未来のビジョン探索は、自社の本質的な存在意義についても深く考える機会となりました。

https://hackcamp.jp/works/komatsu_vision/

【宇宙航空研究開発機構(JAXA)様】事業団の存在意義を20人で共創・探索

「われわれは何のために宇宙航空の研究開発をやっているのか?」、宇宙開発事業団の根本的な存在意義を共創型で探索し共通ビジョンを握るワークショップを実施しました。

正解のない長期的なビジョンを、約20人のメンバーで共創しました。
https://hackcamp.jp/works/jaxa_future_vision_cocreation/

【シルキースタイル様】ベンチャー企業メンバーがMMVを自分ごと化

株式会社シルキースタイルは、HackCampと共にミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の再構築を目指したワークショップを実施しました。第1回では、社員一人ひとりがMVVを自分事化し、企業の目標を共有することを目指しました。第2回では、各事業部が3年後の目標を設定し、具体的なロードマップを作成することで、社員間のコミュニケーションと目標達成への意識が向上しました。