多数の知識を集めて体形化することで、より大きな価値を生み出す新たな知の活用の概念。近年はビジネスシーンでも、ビジネスにおける正解のない問いに対して、価値観や技術の多様化を集合知として活かす動きが広まってきている。
【集合知:Collective intelligence】
近年、注目を集めている「集合知」。マサチューセッツ工科大学のThomas W.Malone教授は集合知を「This is collective intelligence: groups of individuals acting collectively in ways that seem intelligent.」と定義しました。日本語では「一つの目的に向かって知的作業を行う個人の集合」「知的に見える行為を集合的に行う個人の集合」などと訳されています。人によっては「群衆の意見(Windom of Crowd)」も集合知に含むことがありますが、本稿ではそういった意味合いは含みません。
集合知(Collective intelligence)のポイントは多数の知を集めること。そして、集めた知は、多数決や公約数として扱うのではなく、体系化することによって、少数の知では生み出し得なかった大きな価値の創造に活用するということです。
その代表的な事例の一つがインターネット百科事典のWikipediaです。世界中の人々が参加できるプラットフォームには日々莫大な情報が集まり、従来の百科事典では考えられなかった領域までも逐次情報が更新され成長を続けています。このほかにも、オープンソースのLinuxやAmazonのユーザーレビューなども、集合知の事例として知られています。
ビジネスの場で多様な知を活用するために
一般のビジネスシーンでも、集合知を取り入れる動きが広がってきました。商品開発でいえば、従来は一部の優秀な人材のアイデアから多数のヒット商品が生まれましたが、近年は価値観や技術の多様化などを背景に、特定の人材に頼った開発が行き詰まりを見せています。一方で、社内に目を向けると、さまざまなバックボーンを持つ人材が在籍しています。彼らの多種多様な知識や発想、業務を通して培った経験等を集合知として生かすことで、いままでにない新奇な商品やサービスを生み出そう、というわけです。
ここでポイントとなるのは、ビジネスにおける正解のない問いに対して、多様な知識や考えを相互に生かし合い、つむぎながら、これまでにない価値を生み出していけるかです。
視覚会議×集合知
誰しも、同僚と話すうちに考えが整理されたり、上司や部下の指摘にヒントを得てアイデアが閃いたりした経験は持っていると思います。
では、どうすればそれを実現できるのでしょうか。具体的な方法はさまざまありますが、視覚会議では、多くの企業で行われている「会議」に着目をしています。
たとえば、情報共有や報告に終始していたこれまでの会議が、大勢の社員の意見やアイデアを引き出す場として機能したらどうでしょうか? 多様な意見を可視化しながら、わずか50分でまとまり、集合知として活かすことができたら?
視覚会議は、多種多様であればあるほど価値を発揮する会議です。集合知の活用をするための手法ともいうことができます。